ORGANIZER INTERVIEW 03 石川県
他人の挑戦を面白がれる人となら、地方はもっと面白くなる。
コワーキングスクエア金沢香林坊・濱村晃司さん
(株式会社絶対そうしよ)
金沢・香林坊から生まれるつながり
肩書きではなく、
挑戦を面白がる気持ちでつながる。
金沢・香林坊のコワーキングスペースを拠点に「絶対そうしよナイト」など月3回のイベントを主催する濱村晃司さんに、震災支援から生まれた場づくりの原点と、地方コミュニティ論を聞きました。


PROFILE
濱村 晃司(はまむら こうじ)さん
株式会社絶対そうしよ 取締役。金沢出身。銀行員として企業支援や地域プロジェクトに携わり、「人と人のつながりが事業を前に進める」ことを実感。前職時代から副業で移住者向け交流会を運営し、2023年12月、金沢・香林坊に「コワーキングスクエア金沢香林坊」をオープン。「絶対そうしよナイト」をはじめ、挑戦が生まれる場づくりに取り組む。
この記事の目次
サテライトオフィスの公募から始まった、香林坊の拠点
われわれが運営するコワーキングスクエア金沢香林坊は、金沢の中心・香林坊の東急スクエア2階にあるコワーキングスペースです。始まりは2022年の冬、金沢市のサテライトオフィスモデル事業の公募がきっかけでした。準備を経て2023年12月にオープンし、いまはオフィス利用だけでなく、交流イベントや勉強会が毎月開かれる「まちに開いた拠点」として運営しています。
震災支援拠点「チームスクエア」で見えた、コミュニティの原点
オープンの翌月、2024年1月に能登半島地震が起きました。この施設はすぐに震災支援の拠点「チームスクエア」に姿を変え、3〜4か月にわたって炊き出しや支援者のコミュニティづくりを行うことになります。この期間に「本来やりたかったコミュニティの形」が一時的に実現していたんです。肩書きに関係なく、できる人ができることを持ち寄り、他人のために動く。あの数か月で見えた景色が、いまの場づくりの原点になっています。
「緩いイベント」が、施設の色をつくる
支援活動が落ち着いたあとは、スタートアップを目指す方の支援や移住者交流会などを開いてきました。その積み重ねの中で、この施設ならではの「色」をもっと出したい、もっと気軽に立ち寄れる場にしたい——そう考えて1年ほど前に始めたのが、参加のハードルをぐっと下げた「緩いイベント」です。
いまは自主開催のイベントが月3回ほど。行政や大学、企業による貸出イベントが月6回ほどあるので、ほぼ毎週なにかが起きている場所になりました。イベントのあとに参加者同士でご飯や飲みに行く流れもできていて、そこで参加者の関係が深まっています。

肩書きを外してフラットに。「絶対そうしよナイト」
毎月必ず開催しているのが、自主イベントの「絶対そうしよナイト」です。コンセプトは、新しい出会いを求める人がフラットに参加できる場。経験豊富な経営者の方も、挑戦を始めたばかりの方も、この場では同じひとりの参加者です。肩書きをいったん脇に置いて、同じ目線で楽しんでいただいています。
集客は参加者のオープンチャットとInstagram、そして口コミ。派手な宣伝はしていませんが、「あの場が楽しかったから」と人が人を連れてきてくれる。地方の交流会は、この連鎖がいちばん強いと思っています。

雑誌を読む感覚で学ぶ「スタートアップファイナンス研究会」
もうひとつの毎月開催が「スタートアップファイナンス研究会」です。その月に資金調達したスタートアップのビジネスモデルやトレンドを、雑誌を読む感覚でみんなで研究する会で、県の産業支援に関わる方や金融機関、地域の経営者が集まります。成功事例を徹底的に真似して取り入れるのが目的で、参加は無料。学びの会とはいえ、ここから生まれるつながりも多いですね。
参加の条件は3つ。「他人の挑戦を面白がれる」こと
地方のコミュニティは、放っておくと「誰かが何かをしてくれる」という依存型になりがちです。だから我々のイベントには、参加者の最低条件を3つ決めています。「他人の挑戦を面白がれること」「自分のリソースを出せること」「オープンマインドであること」。この3つさえあれば、業種も年齢も肩書きも関係ありません。
北陸3県から、県外からも2割。地方はマインドとつながりで勝負する
参加者は金沢だけでなく、新幹線や車で北陸3県から来る方が意外と多く、県外からの参加も2割ほどあります。金沢に立ち寄る機会があれば、県外の方もぜひ気軽に参加してほしいですね。
東京のような圧倒的な資金や情報の供給システムが、地方にそのまま成立するとは思っていません。地方が勝負できるのは、マインドと、コミュニティのつながりです。挑戦する人を面白がって、みんなで押し上げる。そういう場をこれからも金沢でつくり続けたいと思っています。