営業や接客で身につくのは「売る力」だけではない
営業経験というと、売上目標の達成や契約件数に注目されがちです。しかし、日々の仕事で身につく力はそれだけではありません。初対面の相手が話しやすい雰囲気をつくる、短い時間で相手の関心をつかむ、難しい内容をわかりやすく説明する、約束したことを忘れずに次の行動へ移す。こうした力は、多くの仕事で必要とされています。
接客、採用、カスタマーサクセス、イベント運営などの経験も同様です。相手が言葉にしていない困りごとに気づいたり、その場にいる人へさりげなく配慮したりする力は、マニュアルだけでは身につきません。人と向き合ってきた時間そのものが、仕事に活かせる経験になっています。
人と話す経験を活かせる副業・複業の選び方
経験を副業・複業に活かすときは、「営業経験者向け」という言葉だけで判断せず、実際に何を求められる仕事なのかを確認しましょう。同じ営業関連の仕事でも、電話で件数を重ねる仕事、商談を進める仕事、既存顧客を支援する仕事、人と人の接点をつくる仕事では、必要な力が異なります。
まず、自分が得意だった場面を思い出してみてください。「初対面の方と自然に話せる」「相手の話を聞いて要点をまとめられる」「複数の人の間に入り、段取りを整えられる」「丁寧な報告を続けられる」など、具体的な行動で考えることが大切です。
- 成果として求められるのは、契約・件数・関係構築のどれか
- 活動前に、商品や目的について説明を受けられるか
- 活動後に必要な報告や事務作業はどの程度か
- 本業の予定と無理なく調整できる頻度・時間帯か
- 報酬、交通費、契約条件を受託前に確認できるか
「話すことが得意」だけではなく、聴く力が活きる仕事
人と話す仕事では、明るさや話題の豊富さが注目されます。しかし、信頼関係をつくる上で大切なのは、自分の話を続けることではありません。相手の話を遮らず、質問を使って背景を理解し、必要な情報を整理する「聴く力」です。
特にビジネスの場では、相手の役職や業種だけではなく、「現在どのようなことに取り組んでいるのか」「何を探しているのか」「今すぐではなくても、今後どのような相手とつながりたいのか」を理解することが、次の接点につながります。
話すことに自信があっても、一方的に説明してしまう人より、相手に関心を持って会話できる人の方が向いている仕事もあります。強く売り込むことに違和感がある方でも、誠実に聞いてつなぐ仕事なら、これまでの経験を自然に活かせる可能性があります。
交流会でご縁をつなぐ「コネクター」という働き方
人と話す力を活かせる仕事の一つが、経営者や企業に代わってビジネス交流会へ参加する「コネクター」です。クライアントの事業や会いたい相手を事前に理解し、交流会で参加者と会話して、次につながる接点を見つけます。
コネクターの目的は、その場で商品を売り切ることではありません。相手の事業や関心を聞き、クライアントとの間にどのような可能性があるかを考えます。関係がありそうな場合は、後日の連絡や面談につながるきっかけをつくり、活動後に会話内容と相手の反応を報告します。
そのため、法人営業や事業開発だけでなく、採用、カスタマーサクセス、接客責任者、コンサルティング、経営支援などの経験も活かせます。専門用語を並べる力より、相手に合わせて質問し、正確に情報を持ち帰る力が重要です。
本業と両立するために、最初に決めておきたいこと
副業・複業を長く続けるには、時間に余裕を持つことが欠かせません。交流会の開催時間だけでなく、移動、事前の打ち合わせ、準備、活動後の報告までを含めて予定を考えましょう。本業が忙しい時期に無理な案件を受けると、連絡や報告が遅れ、相手からの信頼にも影響します。
活動できる曜日や時間帯、移動できる範囲、月に受けられる回数をあらかじめ整理しておくと、条件に合う仕事を判断しやすくなります。また、会社員の方は勤務先の副業規定を確認し、守秘義務や競業に関する条件にも注意が必要です。
最初から多くの案件を受ける必要はありません。月1回など無理のない頻度から始め、準備と報告を含めた実際の負担を確認しながら、自分に合う活動量を見つける方法があります。
応募前に「自分に向いているか」を確かめる5つの質問
- 初対面の相手の仕事に関心を持ち、質問できるか
- わからないことを知ったふりせず、確認できるか
- 自分の説明より、相手の話を聞くことを大切にできるか
- 時間や約束を守り、活動内容を正確に報告できるか
- すぐに成果が出ない場合も、丁寧な活動を続けられるか
すべてに完璧に当てはまる必要はありません。ただし、企業の名前や目的を預かって活動する仕事では、華やかな話術以上に誠実さが求められます。自分の得意なことだけでなく、責任を持って続けられるかという視点でも検討しましょう。
これまでの対話経験を、次の仕事へ
名刺交換をしてきた枚数、商談で相手の話を聞いてきた時間、難しい要望を整理してきた経験。これらは履歴書の資格欄には書きにくくても、誰かの事業を前へ進めるために役立つ力です。
まずは、自分が人と関わる中で自然にできていたことを言葉にしてみてください。それが「話す」「聞く」「整理する」「つなぐ」のどれなのかが見えてくると、自分に合う副業・複業を選びやすくなります。
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